白い月

子供の頃、朝方や昼間に出ている、白い月を見るのが好きだった。

本来、夜に見かけるはずの月。

青空に白く輝くそれはひどく場違いな感じがして、「うっかり今ここにいる」。その感じが、とてもわたしと似ていると思っていた。

沈みゆく太陽を見ること。空に輝く星を見ること。

子供の頃、住んでいた家には屋上があって、わたしはことあるごとにそこへ行き、一人の時間を過ごしていた。

遠い空。遠い宇宙。

でもなぜか、周りにいる人たちよりもずっと、自分に近しい気がしていた。

遠いのに、近い場所。

近いのに、遠い人。

わたしの内側にあふれるものを、わたしは言葉にして、ヨガにして、表現していく。

内側と、外側。

両者を隔てる膜はどんどん薄くなって、いまはほとんど渾然一体となっている。

その「膜」を薄く薄く、溶かしていく作業は、もしかしたらとても壮絶だったかもしれない。とても長い時間がかかったかもしれない。

でも、もうよくわからない。

わたしは今までの人生すべてを使って、それをやってきたのかもしれない。

今はもう、ありのままの自分を見せても大丈夫なことがうれしい。

そのままのわたしを表現できることがうれしい。

きっとそれが、ずっとわたしが目指してきたこと。

ありのままのわたしを生きて、それがだれかの力になること。

それがだれかの人生を変えていくこと。

長い時間をかけて、変容してきたもの。

今ある世界に、ありがとう。

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